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  5. 練上の美 人間国宝 松井康成展(平成23年12月19日~平成24年2月9日)

練上の美 人間国宝 松井康成展<終了>

「練上の美 人間国宝 松井康成展」は平成24年2月9日をもって終了させて頂きました。
期間中、多数の皆様のご来場ありがとうございました。

展示期間
平成23年12月19日(月)~平成24年2月9日(木)
※12/31日~1/3日及び祝日は休館
開館時間
午前9時~午後5時
※入場無料
場 所
茨城県つくば市竹園1-7 筑波銀行本部ビル2階ギャラリー
地図はこちらからご覧ください
練上嘯裂瓷茜手大壺【銘:来光】 玻璃光練上大壺【銘:海春】
練上嘯裂瓷茜手大壺【銘:来光】 玻璃光練上大壺【銘:海春】

ごあいさつ

今回は、茨城県が生んだ陶芸家「練上の美 人間国宝 松井康成展」を開催いたします。

松井康成は、1927年(昭和2年)、長野県北佐久郡に生まれ、44年(昭和19年)、戦争のため父の生地である茨城県笠間町(当時)に疎開移住しました。

明治大学文学部で学ぶ傍ら、大正大学で浄土宗律師養成講座を受講され、52年(昭和27年)、笠間市の古刹「月崇寺(げつそうじ)」の住職松井英功長女秀子さんと結婚。57年(昭和32年)30歳のとき月崇寺の住職となっています。


60年(昭和35年)、寺の境内に窯を築き、中国、朝鮮、日本の古陶器を研究し倣古作品を制作するようになりました。68年(昭和43年)、栃木県佐野市の陶芸家田村耕一(人間国宝)に師事し、作陶も練上手(ねりあげで)にしぼり研究をすすめました。

一般には、陶磁器の装飾は、土で形成された器胎の表面にさまざまな色彩や文様を施し作り出されますが、練上手とは、いくつかの異なった色の土を練り合わせたり、積み重ねたりして作られるため、器胎そのものが絵や文様となっています。よって、陶器の表面と内側の文様がほぼ同一となっています。

初期、60年代(昭和45年)には、灰釉をかけた作品や志野、黄瀬戸、掻落、練上等の作品を手がけています。そして、70年代~80年代「線文(せんもん)」「嘯裂(しょうれつ)」「象裂(しょうれつ)」「破調(はちょう)」、80年代「堆瓷(ついじ)」「風白磁(ふうはくじ)」「晴白(せいはく)」、90年代から「萃瓷(すいじ)」「玻璃光(はりこう)」へと、練上技法の工夫によって豊麗な美と輝きのある作品を制作しています。

練上の作品に集中して本格的に没入するのは、67年(昭和42年)頃からで「線文」では簡単なフォルムの器に鉄色の細い線文が、微妙なリズムでゆるやかに流れ、みずみずしい現代的な美観をあらわしています。

75年(昭和50年)発表の「嘯裂文」で松井康成の独創的な練り上げが生み出されたと云われています。

板土に刷毛や櫛であらかじめ傷をつけ、ロクロを静かに回しながら脹らませると、次第に傷が大きく裂け巧みなる自然の文様をつくってくる。先生は、この作品やその後の「象裂」をさして「蕭条(しょうじょう)として荒涼たる無機的世界を好んだ」といっています。

89年(平成元年)には、「晴白練上」という新たな表現を生み出しています。これは、ニュージーランド産の純白のカオリンを主として使用し、明るい調子の色素地を作り出し、色彩が鮮やかに発色しています。よって、カラッとモダンな色調のものが多くなっています。

92年(平成4年)「萃瓷練上」を数多く発表しています。「萃」とは、花などを集めるという意味だそうです。そこから生まれた多くの色彩とさまざまな文様の全てが集められ、渾然一体となって豊饒な世界が現出しています。全ての作品は、透明な木灰釉がかけられているため光沢があり耀いて見えます。

96年(平成8年)から「玻璃光」という一連の作品を発表しまた。「玻璃」とは、仏教の七宝のひとつである水晶を意味し、転じて光を反射し輝く透明な物質をさします。この作品の特徴は、焼成後に器の表面をダイヤモンドの粉末で研磨していることです。このことによって、作品自体の内部から光が煌めいているように感じらます。


69年(昭和44年)に「練上手大鉢」を第9回伝統工芸展に初めて出品され、奨励賞を受賞してから多くの展覧会にて数多くの受賞を重ね、88年(昭和63年)には紫綬褒章を受章、93年(平成5年)昭和生まれで初めての重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定されました。

なお、69年(昭和44年)には、関東銀行本店(現:土浦市の筑波銀行本店)の新築に際し7階に横576cm・縦243cmのダイナミックな陶壁を制作いただきました。今回の展覧会にあたり2階ロビー正面に2分の1に縮小したパネルを展示させていただきましたので是非ご覧ください。

今回は、主に線文から玻璃光までの作品、陶器27点、日本画1点の合計28点を展示させていただきました。「練上の美」の世界を十分ご堪能いただけるものと存じます。どうぞごゆっくりご鑑賞ください。

2011年 12月      株式会社 筑 波 銀 行




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