第83回「茨城県内企業経営動向調査」(2024年6月調査)
物価高の影響や経済活動正常化の一巡から、非製造業で3四半期振りに業況が悪化
筑波銀行(頭取 生田 雅彦)のシンクタンクである筑波総研 株式会社(社長 木村 伊知郎)は、茨城県内企業経営動向調査(調査基準 2024年6月)を実施しましたので、その結果を公表いたします。
- 自社業況判断DIは全産業で前回調査から4.0ポイント悪化し、「悪化」超幅が拡大
2024年4~6月の自社業況判断DI(「好転」回答割合-「悪化」回答割合)は、全産業で▲13.9と前回調査実績から4.0ポイント悪化した。
業種別にみると、製造業は▲20.9と同1.4ポイント改善した。電気機械、化学・プラスチック、鉄鋼・非鉄金属が悪化したものの、食料品、金属製品、その他の製造業等が改善した。非製造業は▲10.1と同7.2ポイント悪化した。不動産業、情報通信業が改善したものの、小売業、飲食・宿泊業、サービス業他等が悪化した。
製造業では、2四半期連続で業況が改善した。素材業種では在庫調整の遅れによる受注減少からプラスチックなどで業況悪化の動きがみられるものの、加工業種では景気が緩やかに回復していくなかで一般・精密機械や金属製品などで業況が改善したほか、食料品では仕入価格上昇が一服したことで業況が改善している。非製造業は、3四半期振りに業況が悪化した。小売業では物価高による家計消費の落ち込みから業況が悪化したほか、飲食・宿泊業では5類移行から1年が経過し経済活動正常化の動きが一巡したことで業況が悪化した。また、人手不足や原材料高の影響が大きい建設業や運輸業で業況が悪化した。
企業の仕入価格やコスト上昇分の販売価格への転嫁は緩やかに進んでいるものの、価格転嫁の進捗度合いは企業によって差がある状況が続いている。また、このところの賃上げ・最低賃金引上げ分の価格転嫁が難しい様子が窺える。
先行き2024年7~9月の自社業況判断DIは、製造業・非製造業ともに今回調査実績から改善する見通しである。
緩やかながらも景気の回復が続くことで、企業の売上・受注についても持ち直していくことが期待される。ただし、海外経済の減速や大手自動車メーカーの自動車出荷停止、家計消費の停滞長期化、賃上げによる人件費増加などの下振れリスクが大きい状況にある。
- 設備投資を実施した企業の割合は、全産業で前回調査から2.1ポイント低下
2024年4~6月に設備投資を実施した企業の割合は、全産業で30.1%と前回調査実績(32.2%)に比べ2.1ポイント低下した。業種別にみると、製造業は同2.9ポイント低下(38.6%→35.7%)、非製造業は同1.6ポイント低下(28.6%→27.0%)した。
なお、前年同期(2023年4~6月)と比べると、全産業は0.8ポイント低下(30.9%→30.1%)した。製造業は同1.3ポイント低下(37.0%→35.7%)、非製造業は同0.3ポイント低下(27.3%→27.0%)した。
先行き、2024年7~9月に設備投資を計画している企業の割合は、全産業で32.8%と今回調査実績に比べ2.7ポイント上昇する見通しである。
- 調査の概要
対象期間 |
2024年4~6月実績、2024年7~9月見通し |
調査企業数 |
茨城県内主要企業749先 |
回答企業数 |
366先 (製造業:129先、非製造業:237先) |
調査方法 |
郵送による記名式アンケート |
DIについて |
DI(Diffusion Index)は、前年同期と比較して「好転」・「増加」・「上昇」・「過剰」と回答する企業の割合から「悪化」・「減少」・「低下」・「不足」と回答する企業の割合を差し引いて算出している。単位は%ポイントであるが、本文中では単位を省いて表記している。 |
以 上
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