第86回「茨城県内企業経営動向調査」(2025年3月調査)
物価高による消費者マインドの悪化などから、業況は小幅に悪化
筑波銀行(頭取 生田 雅彦)のシンクタンクである筑波総研 株式会社(社長 木村 伊知郎)は、茨城県内企業経営動向調査(調査基準2025年3月)を実施しましたので、その結果を公表いたします。
- 自社業況判断DIは全産業で前回調査から0.5ポイント悪化し、「悪化」超幅が拡大
2025年1~3月の自社業況判断DI(「好転」回答割合-「悪化」回答割合)は、全産業で▲7.3と前回調査実績から0.5ポイント悪化した。
業種別にみると、製造業は▲7.7と同0.1ポイント悪化した。金属製品、電気機械、輸送用機械等が改善したものの、食料品、一般・精密機械、その他の製造業等が悪化した。非製造業は▲7.0と同0.7ポイント悪化した。建設業、不動産業、サービス業他等が改善したものの、小売業、情報通信業、飲食・宿泊業等が悪化した。
製造業は、4四半期連続で業況が改善していたものの、今回調査では小幅に悪化し、改善の動きに足踏みがみられる。前年の認証不正問題の影響が解消したことで輸送用機械等では業況が改善したものの、コメ価格高騰など食料品価格の上昇が長引き、家計の節約志向が高まるなかで、売上や受注が減少した食料品で業況が悪化した。また、海外経済減速の影響などから一般・精密機械で業況が悪化した。
非製造業は、3四半期振りに業況が悪化した。売上や受注が増加した建設業等で業況が改善したものの、前述の物価高を背景とした消費者マインドの悪化などから、家計消費に関連が強い小売業や飲食・宿泊業等で業況が悪化した。
また、企業の販売・サービス価格への価格転嫁は、全体として進展しつつある一方で、企業によっては転嫁が不十分なことや仕入価格の再上昇による採算性の悪化などが業況回復を妨げていることが窺える。
先行き2025年4~6月の自社業況判断DIは、製造業は今回調査実績から悪化、非製造業は改善する見通しである。
高水準の賃上げが続くなかで、個人消費の回復に伴い、景気は緩やかな持ち直しが続くことが期待される。ただし、米トランプ政権の関税政策の動向や、それに伴う海外経済のさらなる減速懸念、地政学リスクなどから、先行きに対する不透明感は特に製造業で強い。国内においても、人手不足の深刻化、仕入高・人件費上昇をはじめとしたコストの増加、物価高による家計消費の伸び悩みが続いており、企業は先行きについて慎重にみている。
- 設備投資を実施した企業の割合は、全産業で前回調査から0.8ポイント低下
2025年1~3月に設備投資を実施した企業の割合は、全産業で26.6%と前回調査実績(27.4%)に比べ0.8ポイント低下した。業種別にみると、製造業は同0.3ポイント低下(32.8%→32.5%)、非製造業は同0.8ポイント低下(24.2%→23.4%)した。
なお、前年同期(2024年1~3月)と比べると、全産業は5.6ポイント低下(32.2%→26.6%)した。製造業は同6.1ポイント低下(38.6%→32.5%)、非製造業は同5.2ポイント低下(28.6%→23.4%)した。
先行き、2025年4~6月に設備投資を計画している企業の割合は、全産業で28.4%と今回調査実績に比べ1.8ポイント上昇する見通しである。
- 調査の概要
対象期間 |
2025年1~3月実績、2025年4~6月見通し |
調査企業数 |
茨城県内主要企業737先 |
回答企業数 |
331先 (製造業:117先、非製造業:214先) |
調査方法 |
郵送による記名式アンケート |
DIについて |
DI(Diffusion Index)は、前年同期と比較して「好転」・「増加」・「上昇」・「過剰」と回答する企業の割合から「悪化」・「減少」・「低下」・「不足」と回答する企業の割合を差し引いて算出している。単位は%ポイントであるが、本文中では単位を省いて表記している。 |
以 上
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