第84回「茨城県内企業経営動向調査」(2024年9月調査)
景気が緩やかに回復するなかで価格転嫁の進展などから、製造業、非製造業ともに業況が改善
筑波銀行(頭取 生田 雅彦)のシンクタンクである筑波総研 株式会社(社長 木村 伊知郎)は、茨城県内企業経営動向調査(調査基準 2024年9月)を実施しましたので、その結果を公表いたします。
- 自社業況判断DIは全産業で前回調査から2.4ポイント改善し、「悪化」超幅が縮小
2024年7~9月の自社業況判断DI(「好転」回答割合-「悪化」回答割合)は、全産業で▲11.5と前回調査実績から2.4ポイント改善した。
業種別にみると、製造業は▲18.1と同2.8ポイント改善した。食料品、その他の製造業が悪化したものの、金属製品、電気機械、一般・精密機械等が改善した。非製造業は▲7.6と同2.5ポイント改善した。不動産業、運輸業が悪化したものの、卸売業、小売業、情報通信業等が改善した。
製造業は、3四半期連続で業況が改善した。仕入価格の上昇に伴う利益の減少などから食料品の業況が悪化したものの、景気が緩やかに回復するなかで自動車認証不正問題の影響緩和や世界的な半導体需要の回復もあり、一般・精密機械や電気機械などの加工業種中心に業況が改善した。非製造業は、2四半期振りに業況が改善した。価格転嫁の進展から利益が改善した卸売業や小売業の業況が改善したほか、価格転嫁に加えて客足も引き続き堅調な飲食・宿泊業の業況が改善した。
また、価格転嫁については、値上げ交渉の難しさや価格転嫁後の受注減少を指摘する声が多く上がる一方で、「値上げがうまくいき、利益率が上昇している」(建設業)といった声も上がり始めているなど、県内企業において価格転嫁が徐々に進んできていることも業況が改善した企業が増えている要因のひとつとして考えられる。一方、人手不足については、製造業、非製造業ともに不足感が根強い状況にあり、企業活動の制約につながる恐れがある。
先行き2024年10~12月の自社業況判断DIは、製造業・非製造業ともに今回調査実績から改善する見通しである。
賃上げが進み実質賃金がプラスに転じて個人消費を下支えすることで、緩やかながらも景気の回復が続き、企業の売上・受注も引き続き持ち直していくことが期待される。ただし、海外経済の減速や地政学リスクの高まりのほか、人手不足の深刻化、人件費上昇分の価格転嫁の遅れなどの下振れリスクが大きい状況にある。
- 設備投資を実施した企業の割合は、全産業で前回調査から1.8ポイント低下
2024年7~9月に設備投資を実施した企業の割合は、全産業で28.3%と前回調査実績(30.1%)に比べ1.8ポイント低下した。業種別にみると、製造業は同3.3ポイント低下(35.7%→32.4%)、非製造業は同1.2ポイント低下(27.0%→25.8%)した。
なお、前年同期(2023年7~9月)と比べると、全産業は3.8ポイント低下(32.1%→28.3%)した。製造業は同9.4ポイント低下(41.8%→32.4%)、非製造業は同1.1ポイント低下(26.9%→25.8%)した。
先行き、2024年10~12月に設備投資を計画している企業の割合は、全産業で25.6%と今回調査実績に比べ2.7ポイント低下する見通しである。
- 調査の概要
対象期間 |
2024年7~9月実績、2024年10~12月見通し |
調査企業数 |
茨城県内主要企業742先 |
回答企業数 |
375先 (製造業:139先、非製造業:236先) |
調査方法 |
郵送による記名式アンケート |
DIについて |
DI(Diffusion Index)は、前年同期と比較して「好転」・「増加」・「上昇」・「過剰」と回答する企業の割合から「悪化」・「減少」・「低下」・「不足」と回答する企業の割合を差し引いて算出している。単位は%ポイントであるが、本文中では単位を省いて表記している。 |
以 上
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