第85回「茨城県内企業経営動向調査」(2024年12月調査)
売上・生産の増加や価格転嫁の進展などから、製造業、非製造業ともに業況が改善
筑波銀行(頭取 生田 雅彦)のシンクタンクである筑波総研 株式会社(社長 木村 伊知郎)は、茨城県内企業経営動向調査(調査基準 2024年12月)を実施しましたので、その結果を公表いたします。
- 自社業況判断DIは全産業で前回調査から4.7ポイント改善し、「悪化」超幅が縮小
2024年10~12月の自社業況判断DI(「好転」回答割合-「悪化」回答割合)は、全産業で▲6.8と前回調査実績から4.7ポイント改善した。
業種別にみると、製造業は▲7.6と同10.5ポイント改善した。食料品、金属製品、電気機械が悪化したものの、化学・プラスチック、一般・精密機械、その他の製造業等が改善した。非製造業は▲6.3と同1.3ポイント改善した。建設業、卸売業、情報通信業等が悪化したものの、不動産業、小売業、サービス業他等が改善した。
製造業は、4四半期連続で業況が改善した。人件費の上昇や原材料・燃料価格の高止まりからコスト上昇が続いているものの、販売価格への転嫁の進展や生産・受注の回復により素材業種を中心に業況が改善した。また、加工業種では半導体市況の回復や自動車認証不正問題の影響が解消したことで需要が持ち直した。非製造業は、2四半期連続で業況が改善した。人手不足や原材料・燃料高の影響が大きい建設業や運輸業で業況が悪化したものの、所得環境の改善を背景とした個人消費の底堅い動きに支えられた小売業などで業況が改善した。また、人流の活性化や夏期の天候不良による下押し解消を受け、飲食・宿泊業やサービス業で業況が改善した。
製造業・非製造業ともに売上・生産の増加や価格転嫁の進展による採算性の改善がみられる一方、人手不足感は依然として根強い状況にあり、業種によっては受注機会の損失が発生しているなど企業活動の足かせとなっている。また、最低賃金の引上げへの対応に苦慮している様子が窺える。
先行き2025年1~3月の自社業況判断DIは、製造業・非製造業ともに今回調査実績から悪化する見通しである。
高水準の賃上げが続くなかで個人消費の回復が見込まれ、景気は緩やかな持ち直しが続くことが期待される。ただし、トランプ米政権の関税政策の影響や海外経済の減速、地政学リスクの高まりなど景気の先行きに対する不透明感が強く、人手不足の深刻化、物価高・人件費上昇をはじめとしたコスト増加への懸念などから企業は先行きについて慎重に見ている。
- 設備投資を実施した企業の割合は、全産業で前回調査から0.9ポイント低下
2024年10~12月に設備投資を実施した企業の割合は、全産業で27.4%と前回調査実績(28.3%)に比べ0.9ポイント低下した。業種別にみると、製造業は同0.4ポイント上昇(32.4%→32.8%)、非製造業は同1.6ポイント低下(25.8%→24.2%)した。
なお、前年同期(2023年10~12月)と比べると、全産業は1.4ポイント低下(28.8%→27.4%)した。製造業は同4.3ポイント低下(37.1%→32.8%)、非製造業は同0.1ポイント上昇(24.1%→24.2%)した。
先行き、2025年1~3月に設備投資を計画している企業の割合は、全産業で24.9%と今回調査実績に比べ2.5ポイント低下する見通しである。
- 調査の概要
対象期間 |
2024年10~12月実績、2025年1~3月見通し |
調査企業数 |
茨城県内主要企業741先 |
回答企業数 |
354先 (製造業:131先、非製造業:223先) |
調査方法 |
郵送による記名式アンケート |
DIについて |
DI(Diffusion Index)は、前年同期と比較して「好転」・「増加」・「上昇」・「過剰」と回答する企業の割合から「悪化」・「減少」・「低下」・「不足」と回答する企業の割合を差し引いて算出している。単位は%ポイントであるが、本文中では単位を省いて表記している。 |
以 上
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